『BELOW/ビロウ』ネタバレ感想・結末考察|巨大イカは悪くない!盛り込みすぎた脚本が惜しい

ドラマ感想・考察

Netflixで配信されている『BELOW/ビロウ』を観ました。
ジョシュ・ハートネット主演の海洋サスペンスドラマです。未知の巨大生物が登場するという設定に惹かれて視聴しました。

序盤はなかなか面白かったんですよ。
謎の海洋生物が人間を襲い、住民たちが次々と異常な行動を起こす。何が起きているのか分からない不気味さがあり、これは面白くなりそうだと思いました。

ところが、話が進むにつれて鉱山開発の陰謀、怪しい信仰を持つ一家、謎の研究組織、さらには恋人の洗脳まで登場。
ちょっと待って。いったい何のドラマを観ていたんだっけ?

最初は面白かったと思っていたのに、観終わって内容を振り返ってみると、あれもこれも気になる。
結局、最後まで観た理由も「続きが気になる!」というより、「まあ、ここまで観たし最後まで観とくか」という感じでした。

今回は、そんな『BELOW/ビロウ』の感想と結末について考えてみます。
※ここから先はネタバレを含みます。

『BELOW/ビロウ』はどんな話?あらすじ

舞台はカナダ、ニューファンドランドの小さな漁業の町スヌックス・アーム。
ある日、町の近くに巨大な氷山が現れ、それをきっかけに不可解な事件が起こり始めます。
海では謎の巨大生物が人間を襲い、氷山に関わった住民たちは精神錯乱や異常な渇きなどの症状を見せるようになります。

主人公の漁師カルヴィンは、海洋研究者のフォンダ博士と協力して、海に潜む生物の正体を探り始めます。

一方、町では有力者が住民たちに移住を迫っていました。
巨大生物による危険を理由に町から人々を追い出そうとする裏には、地下資源の採掘をめぐる思惑が隠されていたのです。

果たして町を襲う怪物の正体は何なのか。そして住民たちは故郷を守ることができるのでしょうか。

冒頭の恐怖はどこへ?イカの毒素がよく分からない

カルヴィンが子どもの頃に遭遇した事故で、巨大生物の目が映ったときから、私は思っていたんです。
「イカじゃん」
未知の恐ろしい海洋生物という設定なのでしょうが、どう見ても巨大なイカにしか見えない。
だから、生物の正体そのものには、それほど驚きませんでした。

ただ、そのイカが普通ではなかった。
氷山には未知の成分が含まれていて、その氷を口にした人間に異常な症状が現れるのです。
水を異常なほど欲しがったり、幻覚を見たり、精神が錯乱したり。なかには命を落とす人もいます。

私が一番面白いと思ったのは、巨大イカの姿ではなく、イカが引き起こす不可解な現象の方でした。
これだけの設定が登場したら、当然その未知の成分や症状の謎が物語の中心になると思うじゃないですか。ところが、いつの間にか話は鉱山開発や怪しい信仰など、別の方向へ広がっていきます。

もちろん、私が説明を見逃していた可能性もあります。
でも、少なくとも観終わった私には、その違いが十分に説明されたという印象は残りませんでした。

あれだけ恐ろしい症状を見せておいて、結局あの毒素は何だったの?
イカの正体より、イカの毒素の正体を教えてほしかった。
これが一番の不満だったのかもしれません。

鉱山開発に呪いに洗脳!話がどんどん増えていく

巨大イカの謎だけでも十分面白くなりそうなのに、このドラマには次々と別の問題が登場します。
まず、町の有力者クロッカー一家による鉱山開発の計画。
巨大イカが危険だから住民は移住するべきだと主張しますが、本当の狙いは町の地下に眠る資源です。

さらに、イカに襲われたカルヴィンの息子・ウェイドが奇妙な幻影を見る場面では、ニューファンドランドに伝わる「オールド・ハグ」という怪異まで持ち出されます。

オカルトホラーが始まったのかと思いきや、廃村に隠れ住む巨大イカを海を支配する存在として崇め、人間を捧げることで豊漁の恩恵を受けていると信じているらしい一家の登場。その娘はイカの毒素を利用した薬物でウェイドを洗脳していたという展開。

そのうえ、気候変動研究を掲げる調査研究船も登場します。
未知の頭足類を発見し、その生態を記録することで科学的な成果や利益を得ようとする研究者たち。しかし、彼らも巨大イカの脅威にさらされてしまいます。

鉱山開発、土着信仰、超自然的な呪い、薬物による洗脳、研究者の野望。
それぞれ単独でもドラマになりそうな話ばかりです。
そして、すべてが巨大イカにつながっている。

ただ、つながっているからといって、ひとつの物語としてまとまっているとは限りません。
私には、あれもこれも盛り込んだ結果、肝心の巨大イカの恐怖が薄れてしまったように感じられました。

結末ネタバレ|巨大イカは子育て中だった!

物語の終盤、海洋研究者のフォンダ博士は、氷山の中に子どものイカがいることを発見します。
そして、巨大イカは氷山を産卵場所として利用し、子どもを守っていたのではないかと考えるのです。

海水温の上昇によって生息環境が変化し、氷山が繁殖のための重要な場所になっていたというわけです。
つまり、巨大イカは理由もなく人間を襲っていたのではなく、子どもを守ろうとしていた。
これ自体は悪くない設定だと思います。
怪物だと思っていた生物にも事情があったという展開ですからね。

そして住民たちは、巨大イカを退治するのではなく、氷山ごと水深の深い沖合へ移動させる計画を実行します。

あの方法で巨大な氷山をけん引するとは、ちょっと無理があった気もしますが…。

結果として町は守られ、住民たちも故郷を離れずに済むことになります。

ただし、巨大イカ自身と子どもたちにとっては、決して単純なハッピーエンドではありません。母イカは命を落とし、温暖化によって子どもたちの生存も厳しいものとして描かれます。
環境問題を扱った結末としては、考えさせられる部分もあります。

でも、ここまで観てきた私は、どうしても別のことが気になってしまいました。
最初は人間を狂わせる恐怖の巨大生物だったのに、最後は子育て中のイカの引っ越しを手伝う話になっていた。
いや、それはそれでいいんですよ。

ただ、あれだけ大騒ぎした毒素の問題はどうなったの?
氷山を移動させれば新たな被害は防げるのかもしれません。
でも、危険を遠ざけることと、謎を解明することは別です。
そこがどうにも引っかかりました。

感想・考察|巨大イカは悪くない。惜しかったのは脚本

振り返ってみると、この作品が描きたかったことは、案外はっきりしているのかもしれません。

  • 町の有力者は巨大イカの存在を住民追い出しの口実に利用する。
  • 廃村の一家は巨大イカを神格化し、自分たちの利益のために人間を捧げようとする。
  • 研究組織は未知の生物を発見することで名声や利益を得ようとする。
  • フォンダ博士は、巨大イカの生態を理解し、人間との共存の道を探る。


つまり、未知の生物に対して、人間がそれぞれの都合で向き合っているわけです。
こうして整理すると、意外に筋の通った構成にも見えます。

でも、ドラマを観ている最中に、それがひとつのテーマとして伝わってきたかというと、私にはそうではありませんでした。
何しろ、次から次へと新しい問題が登場するのです。

しかも序盤であれだけ強烈だった巨大イカの恐怖が、物語の後半ではどんどん弱くなっていく。
イカは子育てしていただけなのに、人間たちの金儲けや信仰や研究に、散々振り回されてしまった。
そう考えると、むしろ巨大イカが一番気の毒に思えてきます。

もちろん、未知の生物を単なる怪物として描かず、温暖化や自然との共存につなげた点は評価できます。
ニューファンドランドの荒々しい海や氷山の風景も、この作品ならではの魅力でした。

ただ、私は序盤の不気味な雰囲気が好きだったので、あの恐怖をもっと追いかけてほしかった。
未知の成分が人間に及ぼす影響や、巨大イカの生態を中心に物語を展開していたら、もっと緊張感のある作品になったのではないでしょうか。

最初は面白いと思ったんです。
でも、観終わってから考えれば考えるほど、あれは何だったんだろう、という疑問が増えていく。
設定は面白い。素材もいい。でも、盛り込みすぎた結果、一番面白かったはずの巨大イカが脇役になってしまった。

これが私の『BELOW/ビロウ』に対する率直な感想です。
巨大イカは悪くない。
むしろ、脚本に振り回された最大の被害者だったのかもしれません。

そしてラスト、ようやく巨大イカの問題が片付いたと思ったら、最後に大量の氷山が登場。しかも不穏な音楽つき。まさかの続編の匂わせでしょうか?

温暖化による新たな脅威を暗示しているのは分かります。でも、その前に最初の謎をもう少し丁寧に回収してほしかった。

『BELOW/ビロウ』あなたはどう観ますか?

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