PR-本ページにはプロモーションが含まれます。
※この記事には映画『シックス・センス』の結末を含むネタバレがあります。
映画『シックス・センス』といえば、衝撃のどんでん返し。ラストで明かされる真実に、思わず最初から見直したくなった人も多いのではないでしょうか。
ところが、結末を知ったうえで見返してみると、最初とはまったく違う映画に見えてくるから不思議です。
怖かったはずの幽霊たちが、実は誰かに助けを求めていたこと。そして、少年を救おうとしていたマルコム自身もまた、救われるべき存在だったこと。
何より驚くのは、真実が最初から画面の中に示されていたということです。
なぜマルコムは自分が死んでいることに気づかなかったのか。コールはいつから彼の正体を知っていたのか。そして、この映画の本当の怖さとは何なのか。
今回は、巧妙に仕掛けられた7つの伏線を振り返りながら、『シックス・センス』の結末と、その奥に隠された意味を考察してみたいと思います。
『シックス・センス』は何が怖い?あらすじと結末を解説
幽霊が見える少年と心理学者
小児心理学者のマルコム・クロウ(ブルース・ウィリス)は、かつて担当した患者ヴィンセントに自宅で銃撃されます。
それから1年後、彼は8歳の少年コール(ハーレイ・ジョエル・オスメント)と出会います。
コールは周囲から孤立し、いつも何かに怯えている少年でした。
その理由は、普通の人には見えない死者の姿が見えること。
しかも、彼の前に現れる幽霊たちは、必ずしも穏やかな姿をしているわけではありません。傷を負い、血を流し、生前の苦しみを抱えたまま突然現れます。
これでは怖くてたまりません。
しかし、マルコムはコールの話を聞くうちに、死者たちは彼を怖がらせるために現れるのではなく、何かを伝えようとしているのではないかと考えるようになります。
結末の真相|マルコムは最初から死んでいた
コールはマルコムの助言を受け、死者の話を聞くようになります。
亡くなった少女キラの訴えから、彼女が母親に毒を盛られていた事実を突き止め、父親に証拠を届けることにも成功します。
死者を恐れるばかりだったコールは、自分の能力に意味を見いだし始めるのです。
一方、コールを救えたと感じたマルコムは、妻アンナのもとへ帰ります。
そして、眠るアンナの手から結婚指輪が落ちた瞬間、すべての真実が明らかになります。
マルコムは、冒頭でヴィンセントに撃たれたとき、すでに亡くなっていたのです。
妻が自分を無視していると思っていたのも、夫婦関係が冷え切っていたからではありません。
アンナには、マルコムの姿が見えていなかったのです。
この結末を知った瞬間、それまで観ていた物語が根底からひっくり返ります。
でも、本当にすごいのはここから。
見返してみると、マルコムが死者であることを示す手がかりが、あちこちに隠されているのです。
『シックス・センス』の7つの伏線を考察
1.マルコムはコール以外の人物と会話していない
最も巧妙なのが、マルコムと周囲の人物との関係です。
初めて観たときは、マルコムがコールの母親リンと話し合い、少年の治療を引き受けたように感じます。
ところが、実際には二人が会話している場面はありません。
同じ場所にいるだけで、観客は自然に「この二人はお互いを認識している」と思い込んでしまうのです。
学校でも、マルコムの問いかけに教師が反応しない場面があります。
無視しているように見えますが、そもそも教師には彼の姿が見えていません。
映画が嘘をついているのではなく、観客が勝手に状況を補ってしまう。
この仕掛けが実に見事です。
2.結婚記念日の食卓に隠された真実
レストランで結婚記念日を過ごすマルコムとアンナ。
マルコムは仕事を優先してきた自分に、妻が怒っていると思っています。
話しかけても返事をしないアンナ。そして、会計を済ませて一人で店を出ていく姿。
初めて観たときは、すっかり冷え切った夫婦関係に見えました。
でも、真実を知ってから見返すと、この場面はとても悲しい。
アンナは亡くなった夫との結婚記念日を、一人で過ごしていたのです。
マルコムが目の前に座っているように見えるのは、観客だけ。
アンナにとっては、そこには誰もいません。
この場面の意味が変わった瞬間、私はアンナの孤独の方が気になってしまいました。
3.地下室の赤いドアノブ
マルコムが仕事部屋として使っていた地下室。
彼は何度もそこにいるのに、扉を開けて入る動作は明確に描かれません。
そして終盤、地下室の扉には鍵がかかっていたことがわかります。
マルコムは自分が普通に生活していると思っていますが、実際にはそうではありません。
死者は自分の見たいものだけを見る。
コールが説明した死者の性質が、マルコム自身にも当てはまっていたのです。
赤いドアノブも印象的です。
本作では赤色が、生者と死者の世界が接近する場面に繰り返し登場します。
何気ない小道具まで伏線になっているのですから、よくできています。
4.死者が近づくと気温が下がる
コールの周囲では、幽霊が現れると急に寒くなることがあります。
白い息が見えるほど気温が下がるのは、死者が近くにいることを示す演出です。
そして、ラストでアンナの口からも白い息が漏れます。
つまり、マルコムもまた、彼女のそばにいる死者だったということ。
それまで幽霊の恐怖を表していた寒さが、最後にはマルコムの存在を知らせるものへと変わります。
そして彼が去ると、寒さも消えていきます。
同じ演出なのに、意味がまったく違って見えるのが面白いところです。
5.結婚指輪が示していたもの
ラストでアンナの手から落ちる結婚指輪。
アンナは自分の指輪を着けていますが、マルコムの指には指輪がありません。
彼はそのことに気づいていなかったのです。
アンナが大切に持っていた夫の指輪が、マルコムを現実へ引き戻す決定的な手がかりになります。
正直、この場面は初めて観たとき、少しわかりにくかったかもしれません。
でも、指輪の意味を理解すると、なんとも切ない。
夫婦の愛情を象徴するものが、二人の別れを知らせる役割を果たしているのです。
6.赤色が示す生と死の境界
『シックス・センス』では、赤色がとても印象的に使われています。
教会の扉、コールのテント、地下室のドアノブ、アンナが身につける赤い服やショール。
全体的に青や灰色の寒々しい色調が多い作品だけに、赤色が際立ちます。
赤は単純に「幽霊がいる場所」を示すだけではなく、生者と死者の世界が交わる場所や、強い感情が動く瞬間を象徴しているように思います。
特にラストのアンナを包む赤いショール。
あれほど怖さを感じさせていた色が、最後には愛情や別れの象徴にも見えてくるのです。
7.コールは最初からマルコムを怖がっていた
最初に教会で出会ったとき、コールはマルコムを警戒しています。
普通の大人に対する態度というより、どこか怯えているようにも見えます。
考えてみれば、コールには死者の姿が見えるのですから、マルコムが普通の人間ではないことに気づいていても不思議ではありません。
そして、二人が別れるとき、コールはもうマルコムを怖がらないと伝えます。
コールがいつからマルコムの正体を完全に理解していたのか、映画では明言されません。
しかし、少なくとも彼がマルコムを特別な存在として認識していた可能性は高いでしょう。
そう考えると、コールがマルコムに心を開いていく過程にも、別の意味が生まれます。
怖かったはずの幽霊が、自分を理解してくれる大切な存在になっていったのです。
なぜマルコムは自分が死んだことに気づかなかったのか
この映画で最も不思議なのは、マルコムが自分の死に気づかなかったことではないでしょうか。
銃で撃たれた記憶があるのに、なぜ生きていると思い込んでいたのか。
その答えは、コールが語った死者の性質にあります。
死者の中には、自分が死んだことを知らず、自分の見たいものだけを見ている者がいるのです。
マルコムは妻が返事をしない理由を、夫婦関係の悪化だと考えます。
地下室の扉が開かないことにも、自分が死んでいるからだとは思い至りません。
都合の悪い現実を、自分が納得できる形に置き換えていたのでしょう。
でも、私はもう一つ理由があると思っています。
マルコムには、まだ終わらせられない仕事があったのです。
かつて救えなかった患者ヴィンセントへの後悔。
そして、妻アンナとの関係を修復したいという思い。
その二つが、彼をこの世につなぎとめていたのではないでしょうか。
コールは、かつてのヴィンセントと同じ苦しみを抱えています。
マルコムにとってコールを救うことは、過去の失敗と向き合うことでもありました。
ところが、少年を救おうとしていたマルコム自身が、実はコールによって救われていた。
ここに、ラストのどんでん返しとは別の、もう一つの逆転があると思うのです。
そして、観客もまたマルコムと同じ思い込みをしています。
冒頭で撃たれたマルコムが、1年後に普通に登場する。
それだけで私たちは、彼が一命を取り留めたのだと信じてしまいます。
治療を受ける場面も、回復したという説明もないのに。
マルコムが気づかなかった理由を考えているうちに、実は自分たちも同じ罠にはまっていたことに気づかされるのです。
『シックス・センス』の本当の怖さと、ラストに隠された意味
幽霊より怖いのは、真実に気づけないこと
『シックス・センス』はホラー映画です。
突然現れる幽霊は怖いし、死んだときの傷を残した姿には思わず身構えてしまいます。
でも、見終わってから考えると、幽霊そのものが本当に怖い存在だったのか、少し疑問が湧いてきます。
彼らは自分の死を理解していなかったり、誰かに伝えたいことを抱えていたりします。
少女キラは、自分を殺した人物を父親に知らせようとしていました。
マルコムもまた、自分が死んだことを知らず、妻への思いを抱え続けています。
そう考えると、怖いのは幽霊の姿よりも、自分に何が起きたのかわからないまま、そこに存在し続けることなのかもしれません。
生きているつもりなのに、誰にも声が届かない。
大切な人が目の前にいるのに、触れることも、気持ちを伝えることもできない。
幽霊の恐怖とは違う、もっと静かな怖さがそこにはあります。
最初はマルコムがコールを治療する物語に見えます。
しかし、二人の関係は一方通行ではありません。
マルコムはコールに、幽霊から逃げず、その話を聞くことを教えます。
そのおかげでコールは、自分の能力を受け入れ、母親にも秘密を打ち明けられるようになります。
一方、コールはマルコムに、死者の性質や、妻と話すための方法を伝えます。
そして、マルコムはようやく自分の死を受け入れることができるのです。
救っているつもりが、救われていた。
この関係があるからこそ、単なるどんでん返し映画では終わらないのでしょう。
母子の車内シーンが教えてくれること
私がこの映画で最も泣かされるのは、実はラストの真実が明らかになる場面ではありません。
コールが母親リンに、自分には死者が見えると打ち明ける車内のシーンです。
最初は信じられないリンに、コールは亡くなった祖母からの伝言を伝えます。
リンはかつて、母親の墓前で「私はお母さんの誇りだった?」と尋ねていました。
その答えは「毎日よ」
この場面、何度観ても泣かされます。
コールはずっと、誰にも理解されない孤独を抱えていました。
リンもまた、息子を愛しているのに、その苦しみを理解できずにいたのです。
そして、亡くなった母親に対しても、確かめられない思いを抱えていました。
コールの能力によって、初めて二人の心がつながります。
死者が見えるという恐ろしい力が、ここでは人を救う力になっているのです。
コール役のハーレイ・ジョエル・オスメントの演技も素晴らしいですが、母親を演じたトニ・コレットの表情がまたいい。
驚き、戸惑い、そして涙へと変わっていく姿に、こちらまで胸がいっぱいになります。
この映画は、死者が見える少年の物語であると同時に、伝えられなかった言葉を届ける物語でもあるのだと思います。
感想・まとめ|怖い映画なのに、最後は切なくて温かい
初めて『シックス・センス』を観たときは、やはりラストの衝撃が強烈でした。
マルコムが死んでいたなんて!
それまで観ていた場面が一気につながり、すっかり騙された気分になりました。
ところが、結末を知ってから見返すと、今度はまったく違う感情が湧いてきます。
結婚記念日に一人で食事をするアンナ。
夫を失った悲しみを抱えながら、日々を過ごしていた彼女。
そして、妻のそばにいながら、自分がもうこの世の人間ではないことに気づかなかったマルコム。
初めて観たときには夫婦のすれ違いに見えた場面が、二度目には深い喪失の場面へと変わります。
これほど見返すことで印象が変わる映画も珍しいのではないでしょうか。
そして、忘れられないのがコールと母親の車内シーン。
あの場面があるからこそ、幽霊の恐怖だけでは終わらない、温かい余韻が残るのだと思います。
『シックス・センス』の怖さは、幽霊が突然現れることだけではありません。
自分の死に気づけないこと。大切な人に思いが届かないこと。そして、伝えたい言葉を残したまま別れなければならないこと。
そんな怖さの奥に、人を思う気持ちや、誰かに理解されることの大切さが描かれています。
怖い映画だったはずなのに、最後には切なくて、どこか温かい。
それが私にとっての『シックス・センス』です。

